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自律型人材の育成前に整えたい、組織の4つの準備

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育成は、組織の準備とセットになってはじめて、変革につながる。本稿では、育成の前後で組織が確かめておきたい4つの問いを整理します。

こんな違和感はありませんか

  • 研修後のアンケートの評価は高いのに、半年後の職場の動きは変わっていない
  • 育成した人に任せたい仕事はあるが、情報も予算も決裁権も渡せていない
  • 挑戦を促しているのに、評価の場では、減点が先に見られている

これらは統計ではなく、私たちが企業の現場でよく耳にする話です。人の育成にいくら力を入れても、受け手が動ける環境が整っていなければ、学んだことは現場で使われません。ここが、私たちの出発点です。

「育成」を「変革」に変えるための、4つの準備

育成を、個人の成長で終わらせず、組織の変革につなげるために、私たちは次の4つを確認することを提案しています。

① 自律的な「当事者」の育成

育成の領域

研修で得た視点や姿勢を、現場で「自分ごと」として発揮できているか

② 権限委譲

制度・経営の領域

情報・予算・決裁権が、育成の意図を込めて渡されているか

③ 挑戦の評価

制度・経営の領域

問いを立てた人、リスクを取った人が評価される仕組みになっているか

④ 経営アジェンダとの接続

制度・経営の領域

育成投資の成果を、事業成果・経営指標と接続して語れる場があるか

図:育成を変革につなげる、組織の4つの準備

①は育成そのものの領域、②〜④は制度や経営の領域です。領域が異なるため、担う人も異なります。人事だけでも、研修の担当者だけでも、完結しません。

①自律的な「当事者」の育成 ―学びを、現場で「自分ごと」にする

研修で得た視点や姿勢を、現場で「自分ごと」として発揮できているか。これが、最初の問いです。

研修の中で完結する学びだけでは、この問いに答えにくいのが実情です。学びを、自分の職場の実際の課題に引き寄せて扱うこと。そして、異なる立場の人と、その課題をともに考えること。育成の設計の側でできることは、こうした「現場に持ち帰れる形」にすることです。

例:研修で学んだ考え方を、翌週の自分の会議で、自分の言葉で使ってみる。

②権限委譲 ―育成の意図を込めて、渡す

情報・予算・決裁権が、育成の意図を込めて渡されているか。

育成した人に任せたくても、任せる範囲が決まっていなければ、学びを使う場は生まれません。任せ方が曖昧なままでは、受け手も、どこまで自分で決めてよいのか分からず、動けなくなります。どの範囲の判断を渡すのかは、育成の計画と一緒に決めておくことが大切だと考えています。

③挑戦の評価 ―挑戦した人が、報われる仕組みにする

問いを立てた人、リスクを取った人が評価される仕組みになっているか。

第2回で見た「ブレーキ人材」は、減点が先に見られる環境で育ちやすい、というのが私たちの見方です。育成で挑戦を促しても、評価の場がそれを拾えなければ、人は元の動き方に戻ります。「ブレーキ人材」の再現ではなく、挑戦した人が報われる仕組みにできているかどうかです。

④経営アジェンダとの接続 ―育成の成果を、経営の言葉で語る

育成投資の成果を、事業成果・経営指標と接続して語れる場があるか。

第1回で見た、経営戦略から財務成果までの鎖を思い出してください。育成の成果が、その鎖のどこにつながるのかを語れる場、たとえば人材会議や経営会議での定例の議題があれば、育成は経営の議論の中に置かれ続けます。

結論:育成の前に、自社で確かめる4つの問い

自律型の人材を育てることと、その人が動ける組織をつくることは、別々の仕事ではなく、一組の仕事です。次の4つの問いに、自社ではどう答えられるでしょうか。

  • ☐ 研修で得た視点や姿勢を、現場で「自分ごと」として発揮できているか
  • ☐ 情報・予算・決裁権が、育成の意図を込めて渡されているか
  • ☐ 問いを立てた人、リスクを取った人が評価される仕組みになっているか
  • ☐ 育成投資の成果を、事業成果・経営指標と接続して語れる場があるか

4つ全てにすぐ答えられる組織は、多くないかもしれません。私たちは、答えにくい問いがどこにあるかを知ること自体が、育成の最初の一歩になると考えています。

この連載では、経営課題の整理から、AI時代の育成の投資先、そして組織の準備までを順に見てきました。どこから手をつけるか、自社の状況に引き寄せて考えるきっかけになれば幸いです。

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※「こんな違和感はありませんか」は私たちの現場での見聞きであり、統計ではありません。※4つの準備は、私たちが整理した問いです。

 

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